2020年に放送されていた“アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋” というドラマをご存じでしょうか。
放送当時は観ていなかったのですが、前々から気になっていたドラマで、最近TVerなどで視聴可能となっていたので観てみました。
石原さとみさんが主演のドラマで、石原さとみさん演じる病院薬剤師の葵みどりが患者ひとりひとりと真摯に向き合い奮闘する、薬剤師が主役の医療ドラマです。
医療現場って医師や看護師に焦点があてられることが多いので、薬剤師が主役のドラマってめずらしいですよね。
私がこのドラマを見たいと思っていた理由は、このドラマの第1話で1型糖尿病が取り上げられていたからです。
ドラマの中でどのように1型糖尿病が描かれるのか興味がありました。
ドラマを見ての素直な感想は、医療ドラマではよくある実際の医療現場でこんなことないよという感じも否めませんでしたが、1型糖尿病の内面の悩みや苦悩は本当にリアルに描かれていたなと感じました。
特に1型糖尿病の女の子がさけぶ「この人らに何言っても無駄だよ。インスリン打ってれば普通と変わんないって思ってる人たちに私たちの気持ちなんて分かんない!」という言葉は痛いほどわかりました。
私の気持ちを代弁してくれたと感じたし、そこを取り上げてくれたことに救われた気がしたし、ほんとにその場面は号泣でした。
口に出して言ったことはないけれど、1型糖尿病を発症してから21年間、ずーっと心の中で思っていたことでした。
病気じゃないのに病気の人の気持ちをわかれなんて無茶なこととわかっているし、わかってほしいと思っているわけではないんです。
でも、ご飯前のインスリン注射がかかせないから保健室やトイレで注射を打つ、低血糖になったら食べたくなくても捕食が必要、大人になってからは医療費の現実にも直面、でも治らないから一生付き合っていかなければならない、これらは生活の中で感じる不自由のほんの一部を挙げただけですが、それでなぜ“普通と同じ”という言葉が言えるのだろうか。そう思ってしまうんです。
心にはたくさんのもやもやをかかえながら、普通と変わらないように見せているだけです。
でも家族がこのドラマを見ていなくてよかったとも少し思ってしまいました。
私の心の中を知られてしまうような気がして、いっしょに苦悩してきたであろう父母にはこの叫びは知らないでいてほしいとも思うのです。
1型糖尿病はまだまだ認知度の低い病気。
なので、このようにゴールデンタイムに放送される、あらゆる年代の人たちが目にするドラマで取り上げられることで、少しでも多くの人に1型糖尿病という病気に気付いてもらえたら良いですね。